2017年1月28日土曜日

積立投資の底力 part2



2016年先進国株インデックス投資の詳細検討を追加します。


前回の「積立投資の底力」の記事が比較的好評だったようですので、2016年にインデックス投資をした場合の詳細なデータの検討を追加したいと思います。

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はじめに

今回指標とするのは「たわらノーロード先進国株式」というMSCIコクサイ・インデックス(円換算ベース、配当込み為替ヘッジなし)連動型の投資信託とします。

同じ指数に連動するインデックスファンドであれば、騰落は同じです。
(※「ニッセイ先進国株式インデックスファンド」は昨年度大幅なトラッキングエラーを起こしましたが、これは稀なケースと考えます。マザーファンドの資産規模が小さかったのも一因ではないでしょうか。)

今回の検討では、NISAの限度額である120万円を月10万円ずつの「積立投資(分割投資)」で運用したケースと、1月に120万円の「一括投資」で運用した場合を比較します。

投資信託の各月の「基準価格」は毎月1日(休日の場合は翌営業日)のものを採用し、毎月1日に「積立投資」を行うこととします。
「一括投資」については14日に投資したとしています。

本来の「口数」とは異なりますが、話を簡略化するため、今回の検討では「投資額/基準価格」を「口数」として計算しております

1月のデータはあくまでも参考値です(投資金額が「積立投資」は130万円、「一括投資」が120万円と異なるため)。

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2016年度のNYダウ、ドル/

前回の記事でもお示ししたグラフです。


「先進国株式」の約半分は米国株式になりますので、先進国株式の変動の近似値として視ていただけるかともいます。


今回採用した投資信託は「為替ヘッジ無し」のものになります。当然為替相場の影響を受けますので、こちらも見ておく必要があります(為替ヘッジ有のものについては「手数料」が高いことや、為替を利用した株価変動によるリターンを享受できないことからお勧めしておりません)。


最後に実際の投資信託の「基準価格」の変動をお示しします。

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「積立投資」のメリットについて考察

     暴落に強く、すぐ回復する

  「積立投資」の特徴として、「暴落に強く、すぐに黒字化する」というメリットがあります。 

  実際の2016年の月ごとの投資成績を以下の表とグラフ(左が「一括投資」、右が「積立投資(分割投資)」になります)に示します。


  「一括投資」では投資信託の「基準価格」と全く一緒の騰落を示しているため、右肩下がりの下降局面では最大-13%もの含み損を出していることがわかります。
  
  一方、「積立投資(分割投資)」のグラフでは含み損の拡大が非常に遅く、最大でも-6%の損失にとどまっているのがわかるかと思います。
  「積立投資(分割投資)」では1回の投資額が小さいため、年初の「高値掴み」をした時の影響が小さく、その後の下降後に投資した分と平均されて、「平均取得額」が低くなることが影響しています。

  また、「積立投資(分割投資)」では「平均取得額」が低下した影響で、株価が上昇に転じたときに「一括投資」と比較して早い段階で黒字化することができます。
  今回のグラフでも、6月の段階で一度黒字化がみられ、「基準価格」がほぼ下げ止まっていても、少し上昇するだけで黒字化する特徴があります。
  
  「積立投資のすべて」によると、過去の歴史を振り返ってみても、「積立投資(分割投資)」ではどんな暴落局面であっても、2~3年の間に1回は黒字化がみられると言われています。
  一方で、「一括投資」では回復に最長6年程度を要することがわかっています。
  私が5年間に限定されたNISA投資で「積立投資(分割投資)」を進める理由はここにあります(こちらの記事もご覧ください)。

     安い時に多く買う

投資は「安く買って、高く売る」がリターンを得る鉄則。みんなわかってはいるのです。。。

ただ、プロのファンドマネージャーでも市場を読むことは困難であり、これがアクティブファンドがインデックスファンドに勝てない理由となっています。

アクティブファンドは長期的に勝ち続けることはできないが、手数料が高い。
そのため、常に平均値をとって、手数料の安いインデックスファンドが勝る。
「ウォール街のランダム・ウォーカー」「敗者のゲーム」で繰り返されている内容です。


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「一括投資」でも同じことが言え、1年の間に買い場を探すことは容易ではありません。
ただ、「積立投資(分割投資)」では、だれもが「まあまあ安く」買うことができるのです。



再びこのグラフが登場しますが、今度は緑の棒グラフに着目してください。

「基準価格」が9000円を割り込んだ3月と7月にたくさんの口数を購入していることがわかるはずです。
一方で、トランプラリーが始まった12月以降では購入口数を低く抑えています。

これが、一般に「ドルコスト平均法」と呼ばれる「積立投資(分割投資)」の特徴で、相場を読めなくても安い時に買い込み、高値の時は買い控えをできるのです


     暴落相場をリターンに変換する



前の記事でも書いたように「一括投資」では「購入時の基準価格」と「売却時の基準価格」の2つの要素のみがリターンに関与します。
2016年のようにいったん下がって、値が戻っただけではリターンはありません(実際に12月時点のリターンは+0.2%です)。
株価が低下した不安を抱えて、戻るのを耐えて待つしかありません。

一方、「積立投資(分割投資)」では下降局面は「口数を稼ぐバーゲンチャンス」となります。
実際に12月の時点で「基準価格」は元に戻っただけですが、+8.9%ものリターンが出ています。
「一括投資」との差の+8.7%は下降局面を利用したことによる利益になります。

「積立投資(分割投資)」では、投資開始時より市場が必ずしも成長していなくてもよいのです。
この性質は、長年経済成長が停滞している「日本株」への投資でも有効な性質となります

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「一括投資」と「積立投資(分割投資)」をどちらを行うのが良いか(私の場合はということですが。。)、細かい話についてはもう少し続きますが、紙面が長くなったため、今回はこれでいったん切ります。

次回の記事に続きます。。。


なお、今回紹介した考え方のほとんどは以下の2書によるものです。
投資本の回でも紹介しましたが、ご一読をお勧めします。

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